一枚の絵を通じてたどり着く「いつか還る場所」
見る者をゆがめ、正すという絵に秘められたある一族の秘密。

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STORY

あらすじ

ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員、守谷京斗(もりや・きょうと)。異動先で出会った吾妻李久美(あづま・りくみ)が祖母から譲り受けた、作者不明の不思議な古い絵を使って「たった一枚の展覧会」を実施しようと試みる。ところが、許可を得ようにも作者も権利継承者もわからない。手がかりは絵の裏に書かれた「イサム・イノマタ」の署名だけ。守谷は元記者としての知見を活かし、謎の画家の正体を探り始める。だがそれは、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた秘密に繫がっていた。
1945年8月15日未明の秋田・土崎空襲。
芸術が招いた、意図しない悲劇。
暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。
長年秘められてきた真実は、
一枚の「絵」のミステリから始まっていた。

戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家・加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。 「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物の成れの果てだ」

PV

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REVIEW

書評

加藤もまた社会を見つめて、書き続けるという道を選んだ。 それは変化を受け止めるということでもある。 作家としての道を続けることにも、表現を続けることにも個人としての 責任が伴う。 時に大きな困難はあっても言葉を紡ぎ続ける責任を引き受けた――。 『なれのはて』は、現時点での彼の覚悟の結晶である。 そんな評価がいずれついてくるだろう。

ノンフィクションライター石戸諭

人の心を知りたいという作者の強い願いを感じる。加藤シゲアキ『なれのはて』はそういう小説である。これまでの加藤作品では、誤解を恐れずに言えば主人公は作者の分身であった。 世界はなぜこうなのか、自分はどうしてこのようにしか生きられないのか、という疑問を抱えた人物が出来事に対処していくという物語である。
他者には他者の論理があり、生きるための姿勢は自分とまったく異なる。加藤はそのことを理解し、小説の形で表現しようとした。
行間から作者の声が聞こえてくるようだ。あなたを知りたい、心から。そう呟いている。

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書評家杉江松恋

本書を読みながら思い出していたのは、大江健三郎『万延元年のフットボール』や中上健次『枯木灘』、あるいはフォークナーの『アブサロム、アブサロム』やガルシア=マルケスの『百年の孤独』などの大作群だった。
といっても、『なれのはて』が世界文学を目指して書かれた小説だと言いたいわけではない。本書はあくまでも、抜群にリーダビリティの高いエンターテインメントのかたちをとって、この百年の日本の現代史を背景に、ある一族の来歴を解き明かしていく。
ある登場人物いわく、「ここを作った人の血は俺にもおめにも流れてる。ほじなしだが、たったひとりでこれを成し遂げた、すったげすげ人だ。俺らにもその血があんだ」
加藤シゲアキは、激動の歴史とどうしようもない人間たちのドラマを重ね合わせ、読み応えたっぷりの一大エンターテインメントに結実させた。
新たな代表作と呼ぶにふさわしい傑作だ。

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書評家大森望

なんという物語だろう。読み終わって、深いため息が洩れる。ミステリーという衣を纏いながらも、本書で描かれているのは、ままならぬ時代を生きた人々の哀しみであり、家族の血の柵であり、時を超えた友情であり、叶わなかった愛の形見である。
「なれのはて」というタイトルの意味は、本書を読んで、実感して欲しい。
そして、それが意味することの深さを、重さを、胸の中に沈めて欲しい。

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書評家吉田伸子

COMMENT

書店員コメント

どれだけの取材や調べ物をして、ここにたどり着いたのでしょう。「書きたい」「書かなければ」という想いが伝わってくる戦争のシーンはまるで見てきたかのような悲惨さで、切なさがこみあげてきました。まさにこれは『加藤シゲアキの第二章のスタート』というキャッチコピーに偽りのない最高傑作ですね!

(伊吉書院類家店中村深雪さん)

凄まじい引力を持った作品。加藤シゲアキという作家の果てしない才能にこの業界の未来を預けてみたくなった。

(有隣堂藤沢本町トレアージュ白旗店小出美都子さん)

掛け替えのない善良が罪の連鎖に変わったとき、誰が負のピリオドを打てるのだろうか。生き続ける罪悪感と確かな幸福を引き受けるには荷が重すぎた者達の苦悩が心を打つ。 それでも譲れない良心のために、独り時代に抗い、手を携えて時を待つ。著者の熱くも静かな挑戦を、読者は引き受けるべきではないだろうか。

(大盛堂書店山本亮さん)

ものすごく没頭し、400ページ超えをいつのまにか一気に読み終わっていた。 新しい著者の代表作。作家加藤シゲアキの新たな旅立ち。誰にも何も言わせないすごい作品を大切に売っていきたい。

(ジュンク堂書店滋賀草津店山中真理さん)

序盤から様々な角度から問いかけられている。そんな作品でした。 読んだ立場として、答えを見つけなきゃいけないと思いました。 わたしも含めて、読んだ人が何かしらの答えを出してくれることを願います。

(大垣書店高槻店門石藍さん)

私は小説をあまり読まない。しかし今回、1冊の物語を読み切ることとなる。読み進めていくうちに、登場人物の行動・心情の一つ一つが面白くなり、ページをめくる手が止まらなかった。主要人物のハッピーエンドを願いつつ、5時間かけて一気に読んでしまった。全ての人物がぶちあたるかもしれない不条理や理不尽を、それぞれが苦しみながらも乗り越えていく。最後の一文まで読んだときには、加藤シゲアキという作家に出会えたことに感動を覚えた。

(うさぎや栃木城内店若山尚美さん)

謎の画家が描いた、一枚の絵の真実に辿り着いた時、張り詰めた空気に包まれ、時が止まるようでした。 激動の時代を生きた人々の、熱い息づかいを肌で感じる壮大な人間ドラマ。 形容できない、大きく深い渦に巻き込まれるように、気づいたら必死にページをめくっていました。

( 紀伊國屋書店福岡本店宗岡敦子さん)

事実はこのうえなく哀しいけれどそこに生きる人たちが誰も不幸にならない結末が救い。加藤シゲアキさんはもう作家業を語る際にアイドルという肩書は不必要だと思う。凄い作品を読んだ。

(有隣堂町田モディ店原田明美さん)

最後は実際に美しい絵画を観た後のように心があたたかく、それでいて興奮もなかなか冷めず、とにかく涙が流れました。

(宮脇書店気仙沼泉田まゆさん)

終戦直後の人々の絶望は現代の日本にも通ずるものを感じた。その中でも必死にもがき一筋の希望の光を求める人間も必ずいる。「なれのはて」にあるものは絶望だけではない。そう前を向かせてくれる一冊。作家加藤シゲアキ氏にありがとうと言いたい。

(ジュンク堂書店秋田店今野圭一さん)

ラスト、涙が溢れ出ました。 なんて美しい。
加藤シゲアキ、最高傑作。 これは凄まじい1冊です。

(文真堂書店ビバモール本庄店山本智子さん)

今まさに、わたしはすごい作品に出会っている。この作品の持つ力と熱量に圧倒され続けた。

(未来屋書店明石店大田原牧さん)

自分のなれのはては「なに」だろうか 執筆活動だけではない3年という月日をかけて生まれたこの作品をいま世に放つという意義に敬意を。

(紀伊國屋書店鹿児島店吉井文代さん)

描いて、救われたのか。描かずにはいられなかったのか。ページをめくっているはずなのに私の前にはキャンバスがあり、手にはアクリルがこびりついているような心持ちでした。加藤シゲアキをもう誰もアイドルが小説を書いているとは言わないでしょう。ここには紛れもない人生があり、物語がありました。

( 成田本店みなと高台店櫻井美怜さん)

バラバラに見えたたくさんの要素が少しずつまとまり、最後に1つになっていく様子はまさに圧巻。胸をつく描写の数々に、痛いと思いながらも目をそらすことは出来ませんでした。そしてラストの感動と言ったらもう……言葉に出来ず、ただただ感嘆のため息を吐きました。ぜひともたくさんの人に読んで欲しい、読んだ人と語り合いたい傑作です。

(田村書店吹田さんくす店村上望美さん)

圧倒された。複雑な物語でありながら、対比が効果的に用いられており読ませる力がある。東京のメディアと秋田の農村、報道部とイベント事業部、終戦前後と現代、そして父と子、兄と弟。自らが生きる道を得るため、闘いを繰り返す者たちが丹念に描かれている。生まれた時代や環境のため「そう生きざるを得ない」者たちによる熱い物語だ。前作と全く違う作風を持つ大作であり、傑作。

(HMV&BOOKS OKINAWA中目太郎さん)

1枚の絵からこんなに壮大な物語になるとは……! 2019年の東京と1945年の秋田とそれぞれの場所でのドラマが本当に濃くて読み応えのある作品でした。アイドルの加藤シゲアキさんではなく、作家としての加藤シゲアキさんの作品の本質を見させて頂いたような気がします。

(未来屋書店高崎店吉野千鶴さん)

加藤シゲアキは圧倒的な筆量で人の業を描ききっている。哀しみや憤り、過去への後悔と絶望、そして希望。すべてを背負いながら人は生きる。生ききった先にこそ“なれのはて”があるのだ。

(未来屋書店新浦安店中村江梨花さん)

寝食が惜しいほどに夢中で読み進めました。序盤は戦争がどう関わるのか、関わらせる必要はあるのかと疑問に思ってもいましたが、確かになくてはならない事柄で、長年戦争と向き合っている著者だからこそ、という気もしました。世代も目的も考え方も違い、それぞれが自分の信念に殊更に真っ直ぐな人達が絡み合い縺れた末の美しいなれのはて、素晴らしかったです。

(未来屋書店姫路大津店沖川幾美さん)

土地の歴史、人の繋がり、個人の思いが点と点を結び線になり、一枚の絵として残る。そして見た人の人生を変えていく。壮大なこのミステリを読み切った今の私が本当に「なれのはて」だと思うほど緻密で、奥妙な物語だった。

(うつのみや金沢工大前店常川さつきさん)

必死で生きてきた。必死で生きている。洗練されていない、その泥臭さにどっぷりひきこまれた。その人の生きてきた息づかいが、叫びが身体じゅうに染み渡るような迫力があった。運命に導かれるように点と点が時代をまたいで、つながっていく。その慟哭に呆然として、言葉を失う。新しい著者の代表作。

(ジュンク堂書店滋賀草津店山中真理さん)

無名の画家の1枚の絵。その絵に隠されていた秘密。調べれば調べるほど謎は増え、その絵に関わってきた多くの人々の人生が浮かび上がってくる。 真実を世間に公表して是非を問い、世の中を正しい方に導く。それが報道の役割なのだろう。しかし全てを明らかにすることだけが正解ではない。 「なれのはて」。この物語を表すのにこれ以上ふさわしいタイトルはないと思った。

(SuperKaBoS鯖江店峯森和代さん)

本来、自分がいるべき場所はここで良かったのか。生まれながらにして過酷な運命を背負い時代の荒波が彼らの何もかもを奪っていった。 出来ることなら私もその絵を見てみたいと思った。

(あおい書店富士店望月美保子さん)

一枚の絵から思いもよらぬ展開で真実に辿り着く。真実を明らかにすることが本当に正義なのか、それはこの作品を読んだ人だけにわかる。

(宮脇書店ゆめモール下関店吉井めぐみさん)

1枚の絵からの構想と繋がりに、控えめに言って度肝を抜かれた! 戦争、歴史、家族が地層となり、人間社会における真摯なテーマが描かれている。壮大な物語を見届けた瞬間に、はじまる未来に心が動く。想像を遥かに超える地点に到達する読後感。深みのある言葉が、水芭蕉のように美しい。

(うさぎや矢板店山田恵理子さん)

読み終えたとき、それまで積み重ねられた物語が一気に胸に迫り、高ぶる感情に飲み込まれそうでした。絵にまつわる現在と過去、ふたりの手紙、約束、燃える温度。様々なものが出会いの一点を目指して一つになり、最後のふたりに成って果て結実する。一冊の本として物語は終わりましたが、行く先の分かっている過去の探求から先の分からぬ未来へと踏み出した登場人物たちのページが続いていくのが見えるようです。

(マルサン書店サントムーン店原田里子さん)

戦争、芸術、仕事、歴史に刻まれる人の業。重厚で難解なテーマを、緻密な構成と美しい表現力、そして人間の光をもって描き切る姿に感動しました! そして、読後に噛みしめる「なれのはて」というタイトル! これは間違い無く最高傑作!

(文苑堂書店新湊店鳥山孝治さん)

重たく、壮大なテーマを扱いながらも、行間からたちのぼる、登場人物たちに向けられたまなざしが、実にやさしい。これは、好きだ。謎めいた一枚の絵が導いたその先に待っていたのは、家族とその相克、正義、愛、戦争、その全てを内包した、時を超えた大きなつながり。読めば、必ずやどこかに、なにかのフレーズにはっと心を掴まれる。胸に灯るなにかがある。

(未来屋書店有松店富田晴子さん)

一枚の絵と謎の画家を探る内に事件を追うことになり、やがて出会う人々や自分自身と向き合っていく。登場人物の過去がこうやって最後の人物に繋がってくるのか…!と大変興奮しながら読ませて頂きました! 時代に大きな影を落とす戦争、一族の暗い血、そして黒い水のうねりに呑み込まれた登場人物達のなれのはて。それでもなんとか生き抜いて辿り着いた、そのはてのはてにある、それぞれに希望が見出せるラストに心が大きく揺さぶられました。

(紀伊國屋書店 本町店藤村麻由さん)

守谷と吾妻の釣り合わないようで釣り合っているキャラクター像がとても良かったです。また、初めは予想していなかったミステリー展開も面白かったです。

(未来屋書店水戸内原店清水双葉さん)

戦中・戦後からの復興の中に秘された絵をめぐる大河。欲や憎しみ、醜さ、不和、戦争までも人の営みとしてとらえ、簡単に孤高に逃げ込まず、他者と関わり影響し合うことを厭わない大切さを教えてくれるかのよう。

(明林堂書店南宮崎店河野邦広さん)

加藤シゲアキ第二章。期待を遥かに超えた作品。闇の部分や屈折した感情を書くことに長けていると同時に美しい表現と映像を頭に浮かばせる表現力が素晴らしいと感じていたのだが、この作品でそれを再確認した。真実とは何か。情報はマスコミの手によって世に出る前に選別され、自分達が目にしているものは果たして真実なのかと、とても考えさせられた。

(くまざわ書店新鎌ヶ谷店武藤湧大さん)

たった一枚の絵が導く、猪俣一族とそこに関わる人々の悲しい歴史、その壮絶な真相と「なれのはて」に心が震えた。作家・加藤シゲアキによるこの大作を色眼鏡で見ることなく正面から受け止めて欲しい。

(アマノ布橋店山本明広さん)

明かされる壮絶な真実、なれのはてに魂が揺さぶられました。読後は心地よい疲労感と、全身が震えるような興奮で、暫くの間放心状態。著者の身を削るような覚悟を感じました。間違いなく加藤シゲアキ史上最高傑作だと思います。読み手も彼の想いを心して受け止めなければならないと思いました。

(紀伊國屋書店久留米店池尻真由美さん)

時代の流れと登場人物たちの生き様が丁寧に、けれどものすごい熱量で描かれていて、映像のように文字がスルスルと読めてあっという間に読み終わってしまいました。特に後半は1秒たりとも本を手放したくないと思ってしまうほど。読後は涙を流し放心していました。最新にして最高傑作と謳われているのは納得です。

(くまざわ書店下関店津久真紗美さん)

加藤シゲアキ第二章、スタート!と銘打たれている通り、これまでにない壮大な作品。今を生きる主人公たちが謎を追い求めていく中で、戦時中の苛烈さが物語に流れ込んでくる。複雑に絡み合う人間関係が明らかになった時、彼の目にはその絵がどのように見えていたのだろうかと考えずにはいられなかった。

(旭屋書店池袋店藤田真理子さん)

無名画家の絵を巡る壮大な家族の物語。幾度となく出てくる暗くて重くて辛い事実に心が締め付けられましたが、どのお話にも根底には誰かが誰かをとても大切に思う愛が溢れている。

(本の王国知多IY店浅川尚子さん)

ただただ、多くの人に、読んでほしい。この世界に没入してほしい。人物の肉付け、背景、心情の繊細な表現。舞台となる土地の空気感まで伝わるような表現。重く、肌にまとわりつくような、気持ちをしめつけるような表現。ページをめくる手がとまりませんでした。終盤、厚い雲の隙間から光の筋がさすような展開、ギラギラした希望ではなく、穏やかな陽光のよう。涙がこぼれました。

(Booksえみたすラスパ太田川店森尾美智子さん)

まるで映画を見ているようでした! 一つの絵から始まる大正から令和にかけて紡がれる人々の物語。読めば読むほど深まる壮大なストーリー! 読む手が止まりませんでした!!

(遊ing浜町店山崎梓さん)

これまで小説と向き合うなかで、自らの親や祖父母の時代へとさかのぼり、「どういう生きざまだったのか」と思いを馳せた作品は初めてだった。それは物語の力であり、深みであり、凄みなのだろう。登場人物達の息づかいが、今もなお残る。

(丸善丸広百貨店東松山店本郷綾子さん)

「冷たい熱さ」という表現ができるのだとしたら、そういう熱さがずっと作品のなかに漂っているように感じました。人の業というものをまざまざと見せつけられました。思いが強ければ強いほど人は道を踏み外してしまうことがある。思えば登場人物たちの多くが、強い思いを抱えている人たちでした。死んで、その思いは成し遂げられたのか。何かの熱になれたのか。なれのはてが、本当にそれでよかったのか。ラストは過去も今も未来も、いろんな人たちの思いが絡まりあって、胸のなかに熱い熱い熱がわきあがり、全身を駆け巡りました。いつまでも心に残る作品になりそうです。

(勝木書店SuperKaBoS二の宮本店樋口麻衣さん)

1枚の絵の謎を巡り過去と現代が交差する壮大な物語。これでもかと五感を刺激されます。全てを明らかにすることを報道といえるのか、何かを守ることも報道の役割ではないか、という言葉はまさに現代の報道の在り方に一石を投じる印象的な言葉でした。誰もがこの絵のなれのはてを見届けずにはいられない。強烈に惹きつけられます。加藤シゲアキさんの才能を改めて感じる最高傑作だと思います。

(未来屋書店りんくう泉南店新家かほりさん)

1枚の絵から始まる壮大なストーリーにすっかり魅了され、一気に読み終えた。様々なテーマが織り交ぜられた重厚な物語のはずなのに、とても読みやすく、読後の爽快感はなんだろう…と考えていた。それぞれの人物が時代に翻弄され、痛みを抱えながらも力強く生きていく様は救いだった。どの時代でも自分の運命を受け入れ、切り開いていかねばならない、著者からのメッセージのように感じた。

(未来屋書店浜松市野店鈴木あゆみさん)

まず、取材量に圧倒されました。秋田の事をかなり細かく調べたと、地元住民にはすぐわかります。小学校の社会の授業に使う教材と同等のレベルです。そして、戦時下に生きた人間が、身近に感じられるように、人を丁寧に描いている事にも感服致しました。

(加賀谷書店茨島店田北郁さん)

一枚の絵から、次々と繋がっていく、なんて壮大な物語だろう。後半は読む手が止まらない程、物語に入り込んでしまった。「なれのはて」の先にあるものは何だ。

(紀伊国屋書店エブリイ津高店高見晴子さん)

読み終えて「なれのはて」とは何かが腹に落ちたとき、自分の中の熱源が揺さぶられ爆発しそうになりました。ものすごい熱量の作品でした。

(紀伊國屋書店西武東戸塚S.C.店鶴見祐空さん)

凄い熱量。どのような帰結に向かうのか、湧き続ける展開から目が離せない。ただ惹きつけられ、圧倒され、流されるようだった。豊富な語彙と多彩な表現力にもはっとする。人物の書き分けも見事だし、描写に無駄もない、説明しすぎるきらいもなく、構成も巧い。さらっと読めるような作品ではないけれど、最後まで楽しめる、上質なエンタメ作品でした。

(宮脇書店 韮崎店小池佐知子さん)

圧倒的なボリューム、複雑に絡み合う登場人物と時代背景、アイドル活動と並行して書き上げたなんて、すごすぎます!! 一枚の絵に隠された真実は何なのか、読み進めていくごとに謎が謎を呼び、猪俣家の複雑な人間関係にハラハラし、かと思えば辛く苦しい戦争を生きた時代があり、過去から現代までを色んな思いが駆け巡りました。いろんな要素を含んだ作品なのに、そのどれも不可欠で散らばっていない、読後は満足感たっぷりの余韻に浸っていました。

(ブックスオオトリ昭島店栃原菜央さん)

一枚の絵をきっかけに、たくさんの人の生き方、想い、やるせなさが描かれ、同じような経験をしたことがないにも関わらず、ぐいぐい世界に引き込まれました。勝手に場面場面が脳内で映像化される不思議な感覚を味わいました。

(紀伊國屋書店相模女子大学ブックセンター藤井亜希さん)

貫かれているのは、人間の業と、人間に対するこれ以上ない愛情でした。痺れました。登場人物たちの、飾らない秋田の言葉が、尚更に心を打ちます。

(喜久屋書店大和郡山店森谷哲さん)

加藤シゲアキさんの作品は何冊か読んだことがありましたが、今回の本は読んでる最中も何度かおぉ……と唸ってしまいました。人の持つ熱や迫力が真に迫るような一冊で、分厚いのに絶対!に一気読みしてしまいます。読み終えた後のこの放心状態をぜひ沢山の人に味わってほしいと思います!

(宮脇書店新屋島店三浦はるかさん)

身近な人々、家族とのあいだに生まれる愛憎、戦争の悲惨さ、報道の闇とそこにさす光明、父を越えようとする子の執念など、とても挙げきれないくらいたくさんのものが詰まった作品で、様々な時代、立場、職業を生きる人々の世界に連れていってもらいました。言葉は何ものをも描き出せるのだと、あらためて知った思いです。

(福岡金文堂行橋店富山未都さん)

私の出身は秋田市で土崎から数駅のところにあります。土崎空襲というのは聞いたことはあるけど、授業でもやりませんでした。「戦争」や「広島」については時間をかけて学ぶのに土崎空襲を学ぶ時間は皆無。“当時としてはよくあった空襲”なんだろうなというぐらいの認識でした。しかしこの作品を読み認識が一変しました。あと1日降伏が早かったら被害に遭わなかったかもしれない、逆に数日でも遅かったら秋田も原爆の被害に遭っていたかもしれない。加藤シゲアキさんは「この小説を書く宿命を感じた」と綴っていますが、私はこの小説を読む宿命を感じています。

(紀伊國屋書店仙台店齊藤一弥さん)

一枚の絵の謎を追うことで、明かされる壮大なドラマ。謎を追う展開も、謎が解き明かされていく展開も、ミステリーのようで、とても先が読みたくて、手が止まらなかった。多くの読者に、アイドルという色眼鏡で見ずに、一人の素晴らしい小説家の作品として読んで貰いたい。「なれのはて」というタイトルの意味が分かったときの重みも、すごい。

(精文館書店豊明店近藤綾子さん)

夢を掘り続けた人、その夢を追う人、苦悩する人、約束を果たした人、その約束を守り描き続けた人……一枚の絵から繋がっていく想いと真実に、心が激しく熱を持って揺さぶられるようでした。まるで始まりの“一枚の絵”のように、ただただ圧倒されました。この一冊に込められた熱量をぜひ感じてほしい!

(未来屋書店土崎港店三浦歩さん)

何かを通して気持ちを伝えることに長けた芸能人としての彼と、こんなにも凄みのある小説を書き上げてしまう作家としての彼。読み進めるほどに加藤シゲアキさんの凄さに驚かされました。心が通じる相手がいる時の安寧はなにものにも代え難い。失わずに済んだかもしれないものに思いを馳せながら、それでも人は生きるのだと熱い想いを受け取りました。

(あおい書店富士店鈴木裕里さん)

ほんの小さな出来事をきっかけに壮大な物語に発展していくスケールの大きさ。場所も時間も超えて、ばらばらに散らばっていた点と点が線で繋がりだし、繋いだ直線が少しずつ丸みを帯びていくように人間の情が浮かびでる。散りばめられた秋田らしさに心の綻びと侘しさを感じずにはいられない。苦しくても悲しくても見届けなければいけない物語がそこにはある。

(ジュンク堂書店秋田店進藤菜美子さん)

絵を巡る謎が気になるのはもちろんですが、登場人物それぞれの葛藤も心に響いてウッとなることも多々あり、400ページ超えも気にならないくらい夢中で読みました。加藤さんといえば青春モノのイメージがありましたがいい意味で裏切られた! こんな骨太の作品も書けるなんて! もう次作が楽しみです。

(喜久屋書店豊岡店中村美穂さん)

こんなにも圧倒的な熱量を感じる物語は初めてでした。無名の画家によって描かれた一枚の絵を巡って暴かれる真実、複雑に絡み合う思惑、時代を越えて紡がれる人々の想い。読み終えた頃にはきっと、「なれのはて」の意味を感じずにはいられない。

(精文館書店汐田橋店渡邊摩耶さん)

人間関係、愛憎のグラデーション。良い人悪い人だけで片付けられない、白紙にじわっと黒いインクが滲むような、どろどろしたリアリティに痺れました。今、このタイミングで出ることに間違いなく意味のある傑作だと胸を張って言えます。テーマがいくつも、同じくらいの重みで散りばめられていることから、どこが響くか読む時期や人によって変わる作品だと思います。まさに作中の絵のように。

(夢屋書店ピアゴ幸田店山本真奈美さん)

一枚の絵が語りかける。その囁きは大きな波となって迫ってくる。ぶつかり合い、絡まり合う情念に圧倒され息も絶え絶えだった。凄まじい嵐の中にあって確かなもの。それは儚げだけど消えることない希望。時を超え繋がる人と人。そこから新たに生まれるもの。読み終えた今、その絵は最初に観たものとは違って観える。

(未来屋書店宇品店山道ゆう子さん)

今を時めくトップアイドルが綴った作品が、戦前から戦争、戦後、そして令和の今日まで連なる重厚な人間ドラマであったことに、誤解を恐れず率直に言えば、驚きました。1枚の絵に関わる人々、深く丁寧に描かれるそれぞれの人生。それらが交錯して、秘められた哀しい物語が浮かび上がってくる展開には胸が締め付けられました。

(ブックスオオトリ四つ木店吉田知広さん)

歴史に残る超大作。正直に言うと、著者に対し、アイドルの片手間に小説を執筆していると軽んじている人も少ないと思う。私もその一人だった。そんな偏見をいとも簡単に吹き飛ばす圧倒的な作品。小説家として新境地を開いた著者の今後がとても楽しみになる一冊だった。後半に差し掛かり、真実が明らかになるにつれてページを捲る手が止まらず最後は一気読みだった。

(くまざわ書店四条烏丸店山中津加紗さん)

全く先の読めない、けれど凄いものが待ち受けている予感がひしひしとして、何かに追いかけられるようにページをめくり続けました。過去と現在が行き来して、物語が重なり合うラストシーンに胸がいっぱいに。

(丸善ヒルズウォーク 徳重店熊谷由佳さん)

自分の住んでいる地元を舞台に、ここまで壮大なストーリーが描かれているとは想定外で驚きでした! 未知の過去についてとことん追究していく主人公の執念やスピード感に、いつのまにか自分も没入していました。

(未来屋書店 土崎港店高桑千奈さん)

正直、加藤シゲアキという人を見くびっていました。きっと多方面に深く取材を重ねていったんだろうと思うと、彼の本気度みたいなものが感じ取れる気がします。一枚一枚薄皮を剥くように、真実に迫っていく。いったいどんな秘密が出てくるのだろうかと、もうドキドキしっぱなしです。秋の夜長にじっくり読んでほしい作品です。

(未来屋書店名取店髙橋あづささん)

登場人物たちのバックグラウンドが丁寧に綴られ、それぞれが血の通った人間として立体的に浮き上がり、各々の人生、生き様、心に負った傷、そして狂気に至る様までもが、切々と胸に迫ってきました。誰一人こぼさずに描ききっていることに驚嘆と感動を覚えます。間違いなく現時点での著者の最高傑作であると思います。

(ジュンク堂書店旭川店松村智子さん)

いままでの作品と系統が違い驚いた。様々な問題が入り混じり伏線が増えるごとにワクワクが止まらなかった。登場人物たちが各々抱えている問題がどこに行きつくのか・・・予想を超えた結末。作家・加藤シゲアキをこの作品を通してぜひ知ってほしい。

(未来屋書店常滑店白山直哉さん)

正しさは振りかざすだけの矛ではない。他者を守るための盾でもある。なんと熱く壮大な物語だろうか。人間のいびつさに心が奮え、人間の強さに心を強く打たれました。

(コーチャンフォー新川通り店木村美葉さん)

人間が持つ業の深さを見せてもらった、その衝撃が深く突き刺さっています。おそらく誰もがこの「なれのはて」に辿り着く可能性があって、運命のいたずらを嘆かずにはいられませんでした。そして、この獣に翻弄されないための強さとかやり方とかそういうものもまた見せてくれたと思っています。

(明文堂書店氷見店前花祐太さん)

すさまじい、あまりにすさまじい小説を読んだ。異なる時間軸の人間と彼らの重厚な物語を、伽藍のような緻密さかつスピード感で組み上げ、読む者には混乱する隙も与えずにひと息でクライマックスまで走り抜ける。加藤さんは掛け値なしに優れたエンタメ作家だと確信しました。

(往来堂書店高橋豪太さん)

非常に骨太で凄みさえ感じると共に、善悪を超えたところで細やかに人間を描かれている素晴らしい作品だった。作家加藤シゲアキが新たなステージに入った事を確信しました。

(三洋堂書店新開橋店山口智子さん)

ラスト、涙が一気に溢れました。一枚の絵からさまざまな人たちが繋がりが見えてきて、それがまた一つの真実に結びついていく。すごい、しか言えません。加藤シゲアキという作家の凄さを改めて実感しました。

(未来屋書店碑文谷店福原夏菜美さん)

1枚の絵に、戦争、家族、人間関係…と、色々な要素がプラスされていきジグソーパズルのピースがハマっていくように物語が出来上がっていく感じがとてもワクワクしページをめくる手も早くなりました。作家活動10年の集大成とも言える作品。

(椿書房牧野智子さん)

一枚の絵から始まる、多くの熱の物語。500ページ近い物語を一日で駆け抜けて、ずっと余韻に浸っている。感想を考えながらも、作品の熱量がふと戻ってきて涙を流してしまう。誰かに薦めたい、そんな作品をまた見つけることができました。

(紀伊國屋書店笹塚店小川由起さん)

PROFILE

プロフィール

加藤シゲアキ

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒業。2012年1月『ピンクとグレー』で作家デビュー。2021年『オルタネート』で第42回吉川英治文学新人賞、第8回高校生直木賞を受賞。「NEWS」のメンバーとして活躍しながら作家としても精力的な活動を続けており、評価を高めている。他の著書に『閃光スクランブル』『Burn.−バーン−』『傘をもたない蟻たちは』『チュベローズで待ってるAGE22・AGE32』(全2冊)、エッセイ集などに『できることならスティードで』『1と0と加藤シゲアキ』がある。

撮影:羽田誠/スタイリスト:十川ヒロコ/ヘアメイク:KEIKO(Sublimation)/アートディレクション:高倉健太(GLYPH Inc.)

加藤シゲアキさんのコメント

前作『オルタネート』の執筆時から考えていた本作が、構想からおよそ3年の歳月を経てついに完成しました。

『なれのはて』は自著のなかで最も壮大なテーマに挑んだエンタメ作品であり、また問題作でもあると考えています。

三十代半ばとなる(なった)私が何を書くべきか、問い続けた結果がこの作品です。

舞台を2019年の東京と、私の母の地元である秋田にしたのは、私自身がこの物語に深く没入するためでしたが、その過程で日本最後の空襲のひとつといわれる土崎空襲を知り、自分がこの小説を書く宿命を感じました。

この小説を書いたのは本当に自分なのか、それとも何か見えざるものによって書かされたのか。今はそういった不思議な気分です。

作家活動が十年を超えた今だからこそ、全身全霊で書き上げることができました。

一枚の絵の謎から広がる世界を、どうぞご堪能いただけると幸いです。

BOOK

書籍情報

なれのはて

発行
講談社
判型
四六判ワイド上製
定価
2145円(税込)
ISBN
978-4-06-533143-9

ネタバレ感想

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